PCで編集/加工した画像をデジカメに戻して表示したいとき...
『F6 Exif』を利用している方から質問を頂きました。

質問内容は「PCにある画像をデジカメ(コンパクトカメラ)で表示する為にはどうすればいいのか?」です。
質問前にはインターネットで色々と調べて以下の事を試したようです。
 1.SDカードへ書き戻す場合に規定のフォルダに規定のファイル名で保存する。
 2.PC画像をデジカメの撮影サイズ(ピクセル)にリサイズする。
 3.デジカメでサンプル画像を撮影し、そのサンプル画像のEXIFをPC画像へコピーする。
以上のことを試したが、いずれも失敗に終わったようです。

『F6 Exif』に対する質問では無かったのですが、EXIFのコピーに『F6 Exif』を使用していること、そしてなにより私自身がこの事象に興味を持ったので手元にあったコンパクトデジカメで色々試してみました。
まずは「どうすれば見られるか?」ではなく、「何をすると見られなくなるのか?」から調べてみました。
手段だけ知りたい場合、最後から読んで下さい。

実験1(フォルダとファイル)
実験2(画像ファイルの編集)
では、どうすればデジカメで表示できるのか

注意).最初に断っておきます。私の所有するデジカメのみを実験対象としている為、その他のデジカメ全てで同様の結果が得られる保証はありません。
実験1(フォルダとファイル)
SDカードに保存されたフォルダ名やファイル名を色々変更して表示されるか否かを実験してみました。
結論から言ってしまうと、「DCF仕様に従っていればOK」ということです。
  まずはファイル名についてです。
ファイル名調査 結果
SDカードの画像を一旦PCへ移動。
その後、SDカードの元フォルダへ元のファイル名でコピー。
SDカードの画像を一旦PCへ移動。
その後、SDカードの元フォルダへ別ファイル名でコピー。(数字連番のみを変更)
SDカードの画像を一旦PCへ移動。
その後、SDカードの元フォルダへ別ファイル名でコピー。(ファイル名先頭のDSC部分をABCDに変更)
SDカードの画像を一旦PCへ移動。
その後、SDカードの元フォルダへ別ファイル名でコピー。(数字の連番部分をアルファベットに)
×
どうやら、私の所有するデジカメではファイル名の後方4文字(数字連番部分)しかチェックしていないようです。

最近のデジカメはDCF仕様(EXIF仕様を内包する)に従っているものが多いです。
DCF仕様においてファイル名は「先頭4文字は任意で、その後の4文字をファイル番号(0001〜9999)」にする事が規定されています。
実験の結果からも、デジカメの動作がDCF仕様に準じた動作となっていることが分かります。
結論として、ファイル名はDCF仕様(先頭4文字は任意、次の4文字は重複しない4桁の数字)に従っていれば何でもOKです。(拡張子はJPEGファイルであれば当然jpgです)

※ちなみにDCF仕様書はググると見つかります。

次にフォルダ名についてです。
ファイル名調査 結果
通常のフォルダ名\DCIM\(数字3桁+文字5桁)の数字部分を別数字の値に置き換える
通常のフォルダ名\DCIM\(数字3桁+文字5桁)の文字部分を別の文字に置き換える
通常のフォルダ名\DCIM\(数字3桁+文字5桁)の数字部分をアルファベットに置き換える ×
通常のフォルダ名\DCIM\(数字3桁+文字5桁)のDCIMを別の文字に置き換える ×

これもDCF仕様に従っているようです。
DCF仕様でフォルダ名は次の通り規定されています。
・トップフォルダはDCIM
・DCIM下のフォルダ名は「先頭3文字をディレクトリ番号(100〜999)、次の5文字は任意」
結論として、ファイルを保存するフォルダ名はDCF仕様に従う事が重要で「DCIM\nnnXXXXX(ここで、nnnは100より大きい3桁の数字、XXXXXは任意の5文字)」であれば何でもOKです。
 
実験2(画像ファイルの編集)
デジカメ撮影画像をPCで編集し、SDカードへ戻しデジカメで表示されるか否かを実験しました。
結果は以下の通り。
編集調査 結果
Windows標準のビューア(名前が分からん)で画像を回転 ×
Windows標準のペイントで何も手を加えず、別名保存 ×
Windowsでファイルを右クリックしてプロパティ画面の”詳細”タブを選択して、タイトルフィールドに文字を入力 ×
代表的な画像編集ソフトで何も手を加えず、別名保存
(保存オプションとして画質は標準のレベルでベースライン形式を選択)
×
画像縮小ソフト(フリーソフト)でサイズを1024*768に縮小 ×
GIMP(フリーの画像編集ソフトです)で何も手を加えず、別名保存。
(プログレッシブ:OFF、サブサンプリング:2*1、1*1、1*1)
且つ、『F6 Exif』を使って元画像からEXIFコピー。(EXIFがないと×になります)
GIMP(フリーの画像編集ソフトです)で何も手を加えず、別名保存。
(プログレッシブ:OFF、サブサンプリング:2*2、1*1、1*1)
且つ、『F6 Exif』を使って元画像からEXIFコピー。(EXIFがないと×になります)
GIMP(フリーの画像編集ソフトです)でサイズを1024*768に縮小
(プログレッシブ:OFF、サブサンプリング:2*1、1*1、1*1)
且つ、『F6 Exif』を使って元画像からEXIFコピー。(EXIFがないと×になります)
GIMP(フリーの画像編集ソフトです)で画像を回転
(プログレッシブ:OFF、サブサンプリング:2*1、1*1、1*1)
且つ、『F6 Exif』を使って元画像からEXIFコピー。
×
『F6 Exif』を使って画像からEXIFを削除 ×
『F6 Exif』を使って画像からEXIFを削除後、以下の値でEXIFを新規作成。
(メーカー名:TEST、カメラ名:Camera)
『F6 Exif』を使って別メーカーのデジカメ画像からEXIFをコピー
『F6 Exif』を使って、画像サイズを1024*768に縮小 (画質パラメータ:低)
『F6 Exif』を使って、画像サイズを1024*768に縮小 (画質パラメータ:中)
『F6 Exif』を使って、画像サイズを1024*768に縮小 (画質パラメータ:高)
×:「エラー表示」、▲:エラーは出ないが、正常に表示されない、○:正常表示

実験の結果は、何かしら手を加えると表示不能になるケースが多いです。

画像編集ソフトで画像を保存するとJPEGデータを再作成します。この時のパラメータによってデジカメで表示出来るか否かが変わってくるようです。今回、 結果が×になったソフトも保存パラメータを変えると○になるかもしれませんが、時間が無く全てのパラメータを試してません。
ただ、GIMPの結果を見る限りサンプリングファクタに影響を受けるっぽいですね。(『F6 Exif』でも画質パラメータで高と中はサンプリングファクタが同一で低の場合は異なっています。)
つまり、編集後画像をデジカメに戻したい場合には、編集ソフトに気を遣わなければならないって事です。

EXIFがないと表示エラーになるが、存在すればデタラメな値のEXIFでも別メーカーカメラのEXIFでも正常表示可能であった。つまり、EXIFは存在すれば何でもOK。(サムネイルのみを使っているのかも?)

上表で画像縮小結果が○のソフトでも縮小サイズが1028*771などになると正常表示出来なくなります。
つまり、画像サイズ(縦*幅)も重要な要素になります。
また、GIMPで画像を90度回転させると表示できなくなることより画像は横長でなければ駄目なのかも?

結論として、「ほとんどの場合、手を加えた画像は表示できなくなる」です。

<<補足>>
上表で結果が×になったソフトは不良、○になったソフトが優秀という訳ではありません。
画像編集ソフトがJPEGを保存する際、内部で色々なパラメータをJPEG規定の範囲内で任意に決めています。このパラメータの値が偶然デジカメの表示出来るパラメータと一致した場合に表示可能になると考えられます。
結果が×になったソフト(フリー、有償にかかわらず)に悪い評判がつくと困るので、念のため名前を伏せています。
 
では、どうすればデジカメで表示できるのか
実験1,実験2の結果から以下の3点に気をつければデジカメで表示できるようです。

※最初にも言っていますが、私の所有するデジカメで確認しただけで、他のデジカメでは試していません。
※デジカメの画像表示機能はそのデジカメで撮影した写真の確認及び鑑賞を目的としている為、外部で編集されたファイルが表示できないのは仕方ないことです。表示できたらラッキーなんだと考えて下さい。

@ フォルダ名/ファイル名はDCF仕様に従う。
つまり、SD(CF)カードに画像を戻す場合は次のファイル書式に従う必要があります。
フォルダ :\DCIM\nnnXXXXX (nnnは100〜999の重複しない3桁の数字、XXXXXは任意の5文字)
ファイル名:XXXXnnnn.jpg    (nnnnは0001〜9999の重複しない4桁の数字、XXXXは任意の4文字)
よく分からない場合、デジカメで適当に1枚撮影してそれに準じるファイル名にすればOKです。おそらく上記のフォルダ及びファイル名になっているはずです。

異なる形式のファイル名にすると、デジカメはファイルを見つけることすら出来ません。
 
A EXIFは必要
デジカメで表示する画像にはEXIFが含まれている必要があります。
画像編集ソフトではEXIFを削除するものも多い為、EXIFが失われた場合はEXIFを別画像からコピーします。
EXIFはデータ内容に依存しませんが、対象デジカメで撮影した写真からコピーするのが無難でしょう。
EXIFのコピーは『F6 Exif』のコピー機能を使って下さい。(コピーモードには影響しませんが、”埋め込み画像に合わせて自動修正”モードの方がサムネイルと主画像の不一致がおこらない為お勧め)
 
B JPEGの保存形式・保存時パラメータが重要
一言でJPEGといっても実は幾つかの種類があります。
代表的なものとして、ベースライン形式、プログレッシブ形式があります。EXIF仕様ではベースライン形式での保存を規定している為、ほとんどのデジカメが出力するJPEGはベースライン形式です。
つまり、デジカメが出力しないファイル形式をデジカメが表示できる可能性はきわめて少ないと考えるべきで、編集画像を保存する際はベースライン形式にすべきです。

その他、画像編集ソフトやファイル保存時のパラメータに大きな影響を受けます。
JPEG保存時に色々な要素(サンプリングファクタ、リスタートインターバル、量子化テーブルなど)をアプリケーションが規定の範囲内で任意に決定しています。この値がデジカメの許容範囲内であることも重要です。
しかし、ほとんどのソフトはこれらの値を直接指定することはできません。『F6 Exif』も含め多くのソフトはユーザに画質レベルを決定させるだけで、ソフトが内部的に画質レベルに応じて様々な要素を決定しています。
つまり、ユーザがそれらの要素を直接指定することは出来ない為、ファイル保存時のパラメータを全て試してみるしかありません。残念なことに全てを試してもデジカメの許容範囲と一致しないかもしれません。
今回時間がない為、JPEG保存時の要素による表示可否は実験していません。
今回画像編集ソフトで使えることが判ったのはGIMPだけです。と言っても、2種類のソフトしか試してないけど^^;

縦向き画像はNG。
デジカメによっては、縦位置撮影した写真は正確に縦方向で表示されます。これは保存時に画像を90度回転させているのではなく表示タイミングでEXIFに記録した画像方向パラメータを元に画像を回転表示しているだけです。つまり、保存されている画像はあくまでも横向きなのです。
例えば、縦位置撮影した画像をWindows標準ビューアで見ると横になっています。しかし『F6 Exif』などの画像方向を読み取るソフトは表示タイミングで画像を回転して表示します。
その様なわけで、デジカメで縦方向画像が表示されるからと言ってPCで画像回転した写真をデジカメが扱えるわけではありません。むろん回転した画像を扱える機種もあるでしょうが私の所有カメラではNGでした。

画像サイズ(縦*横)
最後に画像サイズも重要はファクターです。
640*480、800*600、1024*768、1280*960、1536*152、2048*1536、286*2112などの一般的なサイズがよいです。
中途半端なサイズだとエラーになる場合が多かったです。エラーにならない場合もあるのでよく分かりません。
どのサイズが適当か分からない場合、デジカメの取説を参考にしてそのデジカメで撮影可能なサイズに一致させればよいと思います。


で、デジカメで表示できない画像を表示させる為の手順はこの様になります。
前置きが非常に長かったですね。このページに必要なのはたったこれだけなのに...(^_^;)

必要なものは『GIMP for Windows』と『F6 Exif』です。
@ GIMPを使って、画像を横向きになおし、画像サイズを修正します。
既に画像が横向きでサイズが適当な場合でも何もせずに”別名で保存”を実施します。
保存時のオプションとして「プログレッシブはチェックしない」、「サブサンプリングは2*1、1*1、1*1を選択」、その他は初期状態のままでOK。
  ※GIMPを初めて使う場合は、ちょっととまどいます。以下、簡単な使い方です。
GIMPで画像を開いたら、画像を右クリックしてメニューを表示します。
回転操作:右クリックメニューより[レイヤー]−[回転]−[90度回転]
画像サイズ変更:右クリックメニューより[画像]−[拡大縮小]で表示されるダイアログに”新しい幅”と”高さ”を指定します。
保存:右クリックメニューより[ファイル]−[別名で保存]で最初のダイアログで保存場所を選択して了解を押下し、JPEG形式で保存するダイアログで上述したパラメータを選択。
A GIMPはEXIFを削除するので、『F6 Exif』を使ってそのデジカメで撮影した画像からEXIFをコピーします。
B SDカードの正しいフォルダに正しいファイル名でファイルを保存する。
ファイル名が不明な場合はデジカメで1枚試し撮りをしてそのファイル名に倣って下さい。



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